リコーと損保ジャパン マルチモーダルLLMの共同開発を開始
リコー/損害保険ジャパン 2025年3月21日発表
リコーと損害保険ジャパン(損保ジャパン)は、損保ジャパンの保険業務に適したプライベートなマルチモーダル大規模言語モデル(LMM)の共同開発を開始した。本共同開発は、経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する、国内における生成AIの開発力強化を目的としたプロジェクト「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」において実施している。
【背景】
LMMは、テキスト・画像・音声・動画など複数の形式のデータを一度に処理できるAI技術である。テキスト情報のスクリーンショットから内容を要約する、図を用いた質問に適切に回答するなど、さまざまな形式のデータを効率的に処理する適応性に期待が集まっている。
リコーは、GENIACにおいて、日本企業が活用できるLMMの開発に取り組んでいる。企業内に存在するテキスト、図、表組み、画像などさまざまな形式のデータで構成されている文書や帳票を、効率的に活用することで、イノベーション創出の後押しをすることを目指している。
また、損保ジャパンは、保険業務に関する規定、マニュアル、Q&Aデータなどを学習させ、社内外からの照会内容に対して最適な回答案を自動生成するシステム「おしそんLLM」をトライアル運用中である。対象となる資料の中には、複雑な図表が多数含まれる。日本の文書や帳票は、独自のフォーマットを持つものも多く、既存のLLMでは精度の高い回答が得られないケースもあり、データを根拠とする回答生成の精度が課題となっている。
【共同開発について】
損保ジャパンとリコーは、損保ジャパンが保有する保険の引受規定が記載された図表などを含むマニュアルを学習させた、損保ジャパンの保険業務に適したプライベートLMMを共同開発する。実際のデータとユースケースをベースにすることで、照会対応業務のさらなる時間削減を目指す。共同でモデルを開発した後、性能検証を実施する予定である。今後は、対象とするデータ・ユースケースを広げつつ、モデルを発展させていくことを検討している。
《実施期間》2024年12月~2025年4月
《両社の役割》
損保ジャパン
損保ジャパンが保有するデータの提供とリコーが開発したLMMの評価・検証
リコー
損保ジャパンが提供するデータを学習させたプライベートLMMの開発