日本HP KADOKAWAの「出版製造流通DXプロジェクト」でHPデジタル印刷ソリューションが本格稼働

日本HP 2025年1月16日発表


 日本HPは、KADOKAWAの運営する埼玉県所沢市の大型文化複合施設「ところざわサクラタウン」内のデジタル書籍製造施設で、HPのデジタル印刷ソリューション8台が稼働し、KADOKAWA「出版製造流通DXプロジェクト」の実現に貢献していると発表した。
 「必要な本を、必要な人に、必要な時に」届けることを目指したKADOKAWAの「出版製造流通DXプロジェクト」は、デジタル製造による書籍が累計3,000万部(2025年1月現在)を突破した。100部からの小ロット印刷、短納期製造と配送を実現することで、販売機会の損失、返本や廃棄の減少により利益率が向上したことに加え、余分な資源の消費が低減し地球環境の保全にも貢献している。

 デジタル書籍製造施設には、HPのデジタル印刷機「HP PageWide Web Press T490M HD」、「HP Indigo 50000 デジタル印刷機」および「HP Indigo 15KHD デジタル印刷機」など合計8台が採用され、読者の多様なニーズに合わせた適切な量の書籍を迅速に製造している。印刷生産プロセスを簡略化、自動化するアプリケーション「HP PrintOS」を積極的に活用することでHPデジタル印刷機の性能を最大限に引き出し、また、製本・後加工機や出版に特化したワークフロー管理システムにより、データ送信から製造プロセス全体を効率的に管理している。
 現在、文庫、ライトノベル、新書、コミック、文芸書などの本文、口絵、表紙、カバー、帯にいたるまでを全てデジタル印刷で製造している。
 従来の製造・流通システムは一括製造、大量の返本により過剰な在庫を抱え、最終的に大量廃棄にいたるなど、財務面も環境面でも多くの課題があった。「出版製造流通DXプロジェクト」により、これまでに3,000万冊以上の書籍が出版され、返本率は業界平均に対して10ポイント近く低い26.8%に下がった。また、書店の注文から店舗に届くまで、業界平均で10日程度かかるところ、24〜72時間以内に届けられることで、販売機会の損失を削減している。今後、重版製造が容易になることで、読者のニーズがある限りコンテンツの継続的供給が可能になった。