京都文化協会とキヤノン 俵屋宗達「扇面散図屏風」の高精細複製品を金沢美術工芸大学に寄贈

特定非営利活動法人 京都文化協会/キヤノン 2023年11月27日発表


 特定非営利活動法人 京都文化協会とキヤノンは、社会貢献活動「綴プロジェクト」(正式名称:文化財未来継承プロジェクト)の第16期作品として制作した、米国・スミソニアン国立アジア美術館所蔵「扇面散図屏風」(俵屋宗達 筆)の高精細複製品を、金沢美術工芸大学(石川県金沢市)へ寄贈する。寄贈を記念して、11月27日(月)から12月1日(金)まで、寄贈作品を含む6作品の高精細複製品を同大学内にて一般公開している。

■「扇面散図屏風」の高精細複製品を金沢美術工芸大学に寄贈
 「扇面散図屏風」は、江戸時代(17世紀)に描かれた作品で、保元の乱・平治の乱や伊勢物語などのさまざまなモチーフが描かれた多数の扇子の絵が金屏風に貼り付けられている。オリジナルの文化財は、米国・スミソニアン国立アジア美術館が所蔵している。同美術館の所蔵作品は、設立者の遺言により門外不出とされているため、現地を訪問しない限り、鑑賞することができない。高精細複製品を制作することで、日本絵画の名品とされる本作品の日本への里帰りが実現した。
 制作にあたっては、キヤノンのフルサイズミラーレスカメラ「EOS R5」でオリジナルの文化財を撮影し、独自開発のカラーマッチングシステムを用いた画像処理を行った上で、12色の顔料インクを搭載した大判インクジェットプリンターで出力している。さらに、京都の伝統工芸士が金箔などを用いた装飾を施し、屏風に仕立てることで、オリジナルの文化財を限りなく忠実に再現している。
 金沢美術工芸大学のある石川県金沢市は、本作品の作者である俵屋宗達ゆかりの地とされている。寄贈作品は今後、同大学内の一般公開エリアなどにおける展示や、大学内で行われる授業での活用が予定されている。

■寄贈作品を含む6作品の高精細複製品を金沢美術工芸大学内にて一般公開
 11月27日から12月1日まで、寄贈作品や「松林図屏風」(長谷川等伯 筆)などの石川県にゆかりのある作品を含む6作品の高精細複製品を同大学内にて一般公開している。オリジナルの文化財は、作品保存の観点から大切に保管されており、鑑賞の機会が限られている。今回の一般公開では、ガラスケース無しで間近で作品を鑑賞できるほか、写真撮影も可能とし、高精細複製品ならではの作品鑑賞を楽しむことができる。

【寄贈作品を含む6作品の高精細複製品一般公開の開催概要】
《展覧会名》 俵屋宗達 筆「扇面散図屏風」高精細複製品寄贈記念展示
       「日本美術の名品 ー石川県ゆかりの絵師を中心にー」
《会期》 2023年11月27日(月)〜12月1日(金)
《会場》 金沢美術工芸大学(石川県金沢市小立野2-40-1) アートコモンズA(4号館2階)
《開催時間》 10:00〜17:00 (最終日は16:00終了)
《入場料》 無料
《主催》 特定非営利活動法人 京都文化協会、キヤノン株式会社
《共催》 金沢美術工芸大学
《後援》 北國新聞社