エコリカがキヤノンに対する訴訟の判決に関するお知らせを公表
エコリカ 2023年6月5日発表
エコリカ(大阪市)は、キヤノンがインクカートリッジのリサイクル品を販売できなくしている行為が独占禁止法違反にあたるとして、違反行為の差し止めと損害賠償の3,000万円の支払いを求めて大阪地裁に提訴していたが、大阪地裁(谷村武則裁判長)は6月2日、キヤノンの違法性を否定して請求を棄却する判決を出した。
主張が認められなかったエコリカは6月5日、訴訟に至った経緯や判決内容、今後の見通しについて公表した。
それによると、キヤノンが2017年9月より発売を開始したBCI380シリーズの各種インクカートリッジをそのまま再使用した場合、カートリッジに取り付けてあるICチップ(記憶素子)が従前のインクカートリッジと全く異なる記憶素子に変更されており、インク残量の初期化(リセット)が物理的にできない方式を採用したことがわかったという。この行為により、純正品であればプリンターに装着した際に表示される各色ごとのインク残量が表示されなくなり、インクがなくなった時に印字停止するプリンターの機能が作動しなくなったりプリントヘッドが損傷する恐れが生じる不具合が発生したという。
大阪地裁の判決について、エコリカは、「当社の主張の多くは認めていただきましたが、以下の点では当社の主張と大きく食い違っており、その結論において当社の望む判決には至りませんでした。」とし、判決の内容を次のように抜粋している。
【エコリカが公表した「判決内容の抜粋」】
A)インクカートリッジにおける本質的な機能は印刷に必要なインクを供給することにあって、インクエンドサイン等(インク残量表示機能、インクエンドストップ機能等を総称する趣旨と考えられる)は、インクカートリッジの本質的な機能ではなく、印刷を円滑に行う為の付随機能の1つである。
B)(リサイクルインクは)価格が安いことが評価されて選択され、家庭での利用が多い
C)インクエンドのサイン等の機能の有無をリサイクルインクの選択の条件とすることは少ないと考えられる
D)そのため、インクエンドサイン等の機能が利用できない設計を採用することが競争手段として直ちに不公正であるというのは困難である
エコリカは、6月5日時点で、今後、控訴を含む必要な対応を検討しているという。