キヤノンがRFID位置情報ソリューションを開発 大林組と実証実験を実施
キヤノンは、電波を用いてRFIDタグを非接触で読み取るRFID(Radio Frequency Identification)を用い、ヒト・モノを効率的に管理する「Canon RFID位置情報ソリューション」を開発し、大林組の建設現場において、8月上旬に実証実験を実施したと、8月31日に発表した。DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している建設業界をはじめ、ヒト・モノの位置情報の管理が必要なさまざまな業界を視野に、2023年中に提供を開始する予定である。
建設業界では、作業員の高齢化や人材不足の課題に加え、2024年4月から36協定の残業上限規制が適用される予定であることから、建設現場の労働環境の改善や生産性向上に向けたDX推進の取り組みが積極的に行われている。
RFIDとは、電波を用いて、RFIDタグのデータを非接触で読み取る技術で、近年はアパレル業界における商品在庫管理やセルフレジなどで導入が進んでいる。バーコードによる管理では、レーザーなどを用いてタグを1枚ずつスキャンする必要があるが、RFIDでは電波を用いるため、複数のRFIDタグを一気に読み取ることが可能である。
キヤノンが独自開発したRFIDリーダーは、360°方向に電波を発信するアンテナを有し、移動量検知機能を搭載しているのに加え、小型・軽量を実現している。そのため、RFIDリーダーを腕に取り付けて使用することが可能で、読み取り作業をせずに通常の現場巡視を行うだけで、RFIDタグを貼り付けたヒトやモノの位置情報を収集することが可能である。また、専用アプリをインストールしたスマホやタブレットを通して位置情報を自動アップロードすることで、クラウド上に登録した現場のマップ上に表示することが可能である。RFIDリーダーは、ニーズに応じて、持ち運びせずに固定設置して使用することもできる。
今回、キヤノンは、大林組の協力のもと実証実験を実施した。実験では、「Canon RFID位置情報ソリューション」の活用による、建設現場における建設資材や機材、作業員の正確かつ効率的な所在把握の実現性に関する検証を行った。ヒト・モノを探す時間の削減による、現場施工管理者の作業管理の効率化や、リソースの適切な配置によるコスト削減などに貢献できることが見込まれる。
「Canon RFID位置情報ソリューション」は、建設現場をはじめ、多数のヒトやモノの位置情報の管理が必要となる医療、物流倉庫、小売、オフィスなど多様な業種において、資材や製品の適正管理、人流把握による販売促進などへの活用が期待される。
【「Canon RFID位置情報ソリューション」について】
●キヤノンが独自開発したRFIDリーダーは、約75(幅)×約137(奥行き)×約14(高さ)mm、質量約118gと小型・軽量を実現しており、スマホと同程度の大きさであるため、持ち運びが容易。ニーズに応じて、固定設置して使用することも可能。
●総務省への電波局としての申請が不要な特定小電力製品に該当するほか、導入時にアンテナ設置などの工事が不要で、導入に際しての作業負荷やコストを抑えることが可能。
●本ソリューションでは、RFIDリーダーから発信される電波を動力源とするパッシブRFIDタグを使用しているため、タグの電池交換が不要。
●ユーザーは、新たなタグの発行依頼や、現場マップの登録、タグを貼り付けたヒト・モノの位置把握など、さまざまな作業を1つのウェブアプリ内で、一気通貫で行うことが可能。