《書籍紹介》NECで教わったイノベーション 武木田義祐・著
レーザープリンター開発奮闘記と反省記
サステナブル・イノベーションの極意
本書は、レーザープリンターの草創期に、プリンターの「プ」も、レーザーの「レ」も知らなかった著者が、社命によりプリンター開発に取り組み、イノベーション創出に格闘して、世界初の技術を開発したものの、折からの円高でコストに苦しんだ経験を赤裸々に著したものである。筆者は自ら体験した自戒的なイノベーション創出の格闘と反省を著すことにより、今日の危うい日本の産業界で奮闘する、技術者へのヒントになることを願って、『サステナブル・イノベーションの極意』という副題を付けた。
しかし、技術者でなくても、長年プリンター業界に携わり、業界やプリンターの変遷に関わってきた人や興味を持っている人にも、本書はお薦めである。なにしろNECでプリンター事業を立ち上げた著者の、開発や欧米での販売秘話が満載で、単なる技術書では全くないからだ。
筆者は、NECを退職した後、コニカミノルタを経てサムスン電子に入社。退職後は、プリンター関連で国内外の企業コンサルタントをしている。結局、プリンターの草創期から今日に至るまで、プリンター開発に一生を捧げてきた。本書は、その中でも思い出深いNEC在職中の開発・ビジネス奮闘記である。
ちなみに、著者は本書の構想を10年ほど前から持っていて、本紙「月刊OAライフ」に、2014年4月(第299号)から2015年11月(第318号)まで、『レーザープリンターの開発秘話』(20回)を連載していただいた。本書は、その内容を修正・加筆して、一冊にまとめたもの。
NECで教わったイノベーション
レーザープリンター開発奮闘記と反省記 サステナブル・イノベーションの極意
武木田義祐・著
(文芸社・刊、四六判、166ページ、本体価格1100円・税別)