コニカミノルタジャパン 熟練技術を自動でマニュアル化 オンラインマニュアル運用サービスで
コニカミノルタジャパン 2024年11月6日発表
コニカミノルタジャパンは、オンラインマニュアル作成・運用サービス「COCOMITE(ココミテ)」において、「AI技能伝承インタビュー」機能を開発した。
本機能は、認知科学を活用した生成AIが、技能者に高度技能や熟練技術についてインタビュー形式でヒアリングを行い、その音声データをもとにマニュアル化までを自動で行うものである。ベータ版の提供開始にあたり、産学官連携にて静岡県富士市の製造業2社と常葉大学の認知科学専門家との実証実験の結果を踏まえて開発を進めてきた。
2024年11月より、現在COCOMITEを利用中、またはこれからトライアルを開始する企業の中から、申込者を対象にベータ版の無償提供を開始する。
「AI技能伝承インタビュー」機能は、言語化することの難しい高度技能についてのマニュアル・手順書を、短時間で簡単に作成することを可能にし、多くの生産拠点において多様な製造工程を抱える大規模な製造業から、マニュアルづくりや技術の継承に時間や費用を割く余裕がない中小企業、事業承継や技能伝承を支援する地方自治体まで課題解決を支援する。
【「AI技能伝承インタビュー」機能が提供する価値】
(1)認知科学と生成AI活用で、高度技能の「暗黙知」を「表出化」し、自動でマニュアル化
高度技能に含まれる「暗黙知」の伝承は、長年の経験で培った感覚値であることが多く、直接人に伝えることが難しいとされている。それらを言語化しマニュアルなどに落とし込むためには、「表出化」というプロセスが必要になる。そこで、認知科学の専門家である常葉大学の山田准教授による学術支援のもと、インタビューという形式を用い、質問内容に認知科学を活用す ることにより、効率的に「暗黙知」の「表出化」を図ることに成功した。回答をAIが分析することで、「ひゅーん」「ひょい」といった感覚的・抽象的な表現や、集団の中で使われる特定の単語も抽出し、誰にとっても分かりやすい形で言語化できる点が大きな特長である。ITツールに不慣れであっても、AIによるインタビューに答えるだけで、オンライン上でコツや感覚などを含むマニュアル・手順書を作成することが可能になる。
(2)技能伝承の工数・費用・期間を削減し、多くの高度技能や熟練技術の伝承が可能に
本機能のマニュアル作成においては、約30分間の生成AIによるインタビューを実施後、即座にマニュアルの下書きが自動生成される。下書きに対し、COCOMITE上で熟練技能者と学習者による約15分の内容の確認や修正、画像・動画の追加を行うことでマニュアルが完成する。従来の人を介した技能伝承で「暗黙知」を「表出化」しマニュアル化するためには、業務コンサルティングを専門に行う企業へ委託するケースが一般的だが、多額の費用を要するほか、場所や時間を設定した上でインタビュアーと技能者、記録者などの手配が必要になるなど、工数や費用、時間がかかり過ぎるという課題がある。「AI技能伝承インタビュー」機能では、技能者の時間を約30分確保できれば高度技能に関するマニュアルの自動生成が可能となるため、工数・費用・時間が大幅に抑えられ、従来であれば伝承されずに失われてしまっていた、多くの高度技能や熟練技術の伝承が可能になる。また、マニュアル・手順書の作成から技能習得までの全体期間を短縮させることで、技能人材の早期育成や定着に貢献する。