キヤノンITS AI検査プラットフォームに新バージョン 良品学習機能搭載で検査作業負荷を軽減

キヤノンITソリューションズ 2023年8月4日発表


 キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は、AI検査プラットフォーム「Visual Insight Station」の新バージョンを10月上旬より提供開始すると、8月4日に発表した。

 近年、大手企業を中心に人件費の削減と生産効率の向上を主な目的として、性能が向上した産業用カメラや実用化が進んだAIを活用した様々な領域での業務改革が進んでいる。特に製造業においては、検査工程で目視に頼っていた外観検査をAIに代替またはアシストさせる動きが活発化している。
 しかしながら、一般的にAI検査で用いられる不良品による学習(不良品学習)は、AIに不良箇所を学習させる工程が必要となり、不良品の収集に時間がかかることや、不良箇所を指定するアノテーション作業の負荷が高いことから、導入までに時間がかかっているのが現状である。一方で、学習にかかる作業の大幅な削減が期待される良品による学習(良品学習)は、不良箇所の検出性能が低くなる傾向があり、代替が困難な状況である。

 今回のバージョンアップでは、こうした良品学習での検出性能が低いというこれまでの課題を解決すべく、近年のAI技術をもとにキヤノンITSが開発した新たな良品学習の機能を提供する。提供する良品学習機能は、大規模な画像データによる事前学習と最適化によって、これまで良品学習の課題とされていた検出性能の改善に加え、学習時間の短縮も実現しており、顧客の検査現場での作業負荷軽減に貢献する。良品学習機能は、良品画像の特徴を学習し、良品画像にはない特徴を異常として検出する手法であることから、主に異物検査や外観検査などの用途に適している。

 キヤノンITSは、製造現場のさまざまな課題に対して、カメラ、画像処理、AIを組合わせたソリューションを提供し、技術やノウハウを蓄積してきた。今回、新たに提供する良品学習機能によって、顧客の課題解決の対応範囲を拡大していく。今後もモノづくり企業としての生い立ちを生かし、長年の開発で培った先端技術を強みに、顧客のニーズに最適なソリューションをワンストップで提供していく。

 新バージョンである「Visual Insight Station V1.1.0」の希望小売価格は、税別200万円〜。