NEC 日本市場向け生成AIを開発・提供開始 3年間で売上約500億円を目指す
NEC 2023年7月6日発表
NECは、Generative AI(生成AI)による産業の変化に合わせた日本企業の新しい企業価値創造への挑戦に向けて、顧客に合わせてカスタマイズ可能な生成AIを開発し、LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)のライセンスから日本市場のニーズに合わせた専用ハードウェア、ソフトウェア、コンサルティングサービスなどを提供する「NEC Generative AI Service」を7月から順次提供を開始すると、7月6日に発表した。
また、NECの知見と顧客のナレッジを連携させ、顧客と共に、その顧客向けのモデル作成や、LLM活用のためのソフトウェア整備、組織立ち上げなどを包括的に支援する顧客向けプログラム「NEC Generative AI Advanced Customer Program」を約10の企業・大学と共に立ち上げた。
なお、研究者やAIへの指示を的確に行うプロンプトエンジニア、コンサルタント、デジタルトラストなどのプロフェッショナルからなる専門組織「NEC Generative AI Hub」をCDO(Chief Digital Officer)直下に7月1日付で新設し、顧客のビジネス変革を推進する。
NECは、これら生成AI関連事業において今後3年間で約500億円の売上を目指す。
生成AIにおいては昨今、ChatGPTが2022年11月のサービス提供開始から2か月間で1億ユーザを突破するなど、様々な言語モデルを活用した業務変革の検討が企業や公共機関でなされており、市場から大きく注目されている。
一方、生成AIの活用では情報漏洩や脆弱性等に関するセキュリティ面、正確性やシステムの継続利用等に関する活用時の課題がある。また、企業での利活用においては企業内に蓄積されたナレッジのモデル化や、企業内の利用促進体制の整備など、翻訳や要約などではない、より本質的な用途に活用する取り組みが必要となる。
NECは、今年5月から生成AIの社内業務利用を開始している。社員が安全・安心に使える体制と仕組みを2週間で構築した。社内チャットでの利用やWEB会議ツール等の社内システムとも連携し、利用者数約2万人、1日約1万回の活用が進んでいる。
その結果、資料作成時間の50%削減、議事録作成の時間を平均30分から約5分に短縮、また社内システム開発におけるソースコード作成業務の効率化で工数80%の削減などの成果も出始めている。
今後も、全従業員に共通する文書校正等の業務効率化や、ソフトウェア開発などの専門領域にも活用すると共に、社内利用で得たノウハウをLLM関連サービスへ反映していく。
NECは社内利用も踏まえて、課題解決と新しい企業価値創造に向けて独自の生成AIを進化させて提供する。
【NECのLLMの特長】
《高い日本語能力》 業務で求められる知識量及び文書読解力で、トップクラスの性能を達成
《軽量》 モデルサイズがコンパクトで、標準的なGPUサーバで動作するとともに、お客様の業務に特化させたLLMが短期間で容易に構築可能
【NEC Generative AI Serviceの特長】
NECは、自ら培っているノウハウや取り組みを「NEC Generative AI Service Menu」として顧客にワンストップで支援できるメニューを7月から順次、提供開始する。顧客業務のコンサルティングや仮説検証などのサービスを提供することで効果高く迅速に顧客の業務変革に貢献する。
また、顧客業務にLLMを組み込みやすくするためのソフトウェア「NEC Generative AI Framework」の提供も行う。
LLMは、「Microsoft Azure OpenAI Service」やNECの開発したLLMを顧客ニーズに合わせて提供する。また、機密情報を扱う顧客向けにオンプレミス環境などセキュアな環境もクラウドサービスと共に提供する。
なお、NECとMicrosoftとのグローバルアライアンスのもとに、「Microsoft Azure ExpressRoute」への接続拠点があるNEC印西データセンターを中核に提供する。「NECのLLM」や「NEC Generative AI Framework」、オンプレミス利用が可能となるハードウェア基盤「NEC Generative AI Appliance Server」を組み合わせることで、低遅延でセキュアなLLM環境を実現する。