OKI 多指多関節ロボットハンドの小型軽量化を実現する直径12mm高トルク小型モーターを開発
OKIマイクロ技研/OKI 2023年3月22日発表
OKIグループで精密小型モーター事業を展開するOKIマイクロ技研(OME)は、直径12mm全長25.5mm質量16.5gの高トルク小型モーター「Thumbelina(サムベリーナ)」の商品開発に成功したと3月22日に発表した。成長が続く産業用ロボット市場などに向けて3月よりサンプル出荷を始め、2023年度には量産を開始し、2025年度にロボット関連事業で年間5億円の売り上げを目指す。
産業用ロボットは、先端医療分野や食品分野などにおける繊細な作業での活用が進んでおり、形状や重さが異なるものを掴むロボットハンドの重要性が増している。ロボットハンドの形状が人の手のように多指多関節になる中、多くの関節を同時に高速で動かす高トルクなモーターが必要だが、従来の高トルクモーターは大型でロボットハンド自体も大型化・重量化してしまい、狭いスペースでの作業や繊細な作業が難しいことが課題となっていた。
新商品「サムベリーナ」は、直径12mm全長25.5mmと小型でありながら、従来の同サイズ比2倍の高いトルク定数13×10-3N・m/Aを実現した超小型高トルクブラシレスDCモーターである。サムベリーナを用いることで、小型・軽量で、狭いスペースでの作業や繊細な作業ができる多指多関節ロボットハンドを実現することができる。
高トルクを出すためには、コアにコイルを巻き付けた「コアード構造」が適しているが、巻線スペースが狭い小径モーターでは実現困難とされていた。OMEは、一体積層コア技術や多極多スロット技術により巻線占有率70%以上を確保した独自の「極狭スペース巻線技術」と「小径多極マグネット高精度配置技術」を開発し、小型モーターでの「多極多スロットコアード構造」を実現した。これにより、コギングトルク2.5×10-3N・m以下となり、回転時のトルクリップル(変動量)や振動・騒音を抑えた高トルク小型モーターが完成した。
OMEではサムベリーナを使い、減速機を得意とする株式会社ミューラボと共同で、小型精密関節ユニットと多指多関節ロボットハンドの試作に成功している。
今後OMEは、センサーや制御回路、減速機などの周辺モジュールも開発・提供し、機器組み込みが容易な「モーターユニット」の開発も進めていく。