セイコーエプソン 2023年度新入社員入社式 社長による新入社員に向けた挨拶趣旨

セイコーエプソン 2023年4月3日発表


 セイコーエプソンは、4月3日に2023年度新入社員入社式を開催した。同社の小川恭範代表取締役社長による新入社員に向けた挨拶趣旨は以下の通りである。

セイコーエプソン 小川恭範 代表取締役社長
小川恭範 代表取締役社長
エプソン入社式の様子
エプソン入社式の様子

 今、世界は大きく変化しています。人々の生活を一変させ、ビジネスや働き方に大きな影響をもたらした新型コロナウイルスは、行動制限も緩和され、人々の生活もコロナ前に戻りつつあります。また国際物流の混乱や部材不足も解消されてきました。しかし、世界の経済状況は、インフレの進行とその抑制のための金融引き締めが世界各国で行われ、さらにウクライナ情勢は、一年以上経過した今もなお終息の気配がありません。まさに変化の荒波の只中にいると言えるでしょう。

 私たちに必要なことは、こういった変化にいかに柔軟に対応していくか、すなわち変わり続けられる変化対応力です。一方で、変えてはいけない軸が必要です。軸とは、私たちの存在目的です。これは、一人一人も同様で、変化成長する自分とぶれない信念に基づいた姿勢の両面が常に必要です。

 エプソンは、2022年9月にコーポレートパーパス「『省・小・精』から生み出す価値で、人と地球を豊かに彩る」を制定しました。これはエプソンの存在目的、そして私たちの志を示したものです。かつて世界では、「豊かさとは大きいことや量が多いこと」、「数がたくさんあることが豊かさ」である、という考え方が主流の時代がありました。いわば、“More is Better”の考え方です。しかし、この考えが、地球環境問題の原因の一つと言えるでしょう。私たちはこの逆である“Less is More”の考え方で行きたいと考えています。シンプルさの追求で美しく豊かにする、というコンセプトです。私たちエプソンは、無駄をそぎ落とし、小さく、より効率的に、そして、より精緻にすることで、環境負荷を減らし、地球環境をより豊かにできる、人々のこころもより豊かにできると考えています。ぜひこのエプソンのパーパスをこころにしっかりと刻んでもらいたいと思います。

 私は毎年、新入社員の皆さんに一貫して言っているのは、これまでの学校での学びと違い、会社での仕事とは、「正解のない世界」ということです。「正解のない世界」では、考え方は自由で、多様な考え方こそが大切です。そして何よりも大切なこと、それは自ら考えること、試行錯誤を繰り返すことです。失敗した数だけ人は成長できるはずです。失敗を繰り返しながら成長する。それが働く喜びにつながるはずです。

 また、身の回りに批判者や反対者がいないため、本当の自分がわかっていない権力者の比喩としてよく用いられる「裸の王様」の話から学ぶべきことは、言われたことをただ盲目的に信じるのではなく、本質は何かを見極める力が大事であるということです。そのうえで、物語に出てくる子供が「王様は裸だ」と叫んだように、同調圧力に負けず素直に表現することだと思います。そのためにも、なぜ、何のために、これを常に意識し、自ら考えてください。エプソンがなぜ、何のために存在しているのか、その答えがパーパスです。
 あらためて、エプソンのパーパスをしっかりと胸に刻んでください。そして、自分は何のために働くのか、自分のパーパスもよく考えてみてください。

 エプソンのパーパスと自分のパーパス、この実践に向けて、一緒に楽しんでいきましょう。これから直面するであろう困難や苦しみ。それも楽しい、と無理やり思うことも必要だと思います。困難や苦しみを乗り越える過程というのは、すなわち自身の成長の過程だ、ということを意識し、常にポジティブに考えてもらいたいと思います。

【セイコーエプソン株式会社 入社式 概要】
《会場》 本社(長野県諏訪市)、広丘事業所(長野県塩尻市)、豊科事業所(長野県安曇野市)
《日時》 2023年4月3日
《新入社員》 344名(単体)