エプソン ペロブスカイト太陽電池製造などを開発するスタートアップ「Gosan Tech」へ出資
セイコーエプソン/エプソンクロスインベストメント 2025年4月15日発表
セイコーエプソン(以下 エプソン)およびエプソンクロスインベストメントは、両社の出資するEP-GB投資事業有限責任組合を通じて、多様な産業領域において活用可能なインクジェット技術を有する韓国発スタートアップのGosan Tech Co., Ltd.(本社=韓国・天安(チョナン)市、以下 Gosan Tech)に対して、このほど出資した。
Gosan Techは2015年に設立され、インクジェット方式によるOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ用の製造装置の開発・販売事業にて培った、高いインク液滴の均一度・精密度を実現可能なインク供給システムやその圧力制御技術、シミュレーション技術などを有する韓国発スタートアップである。Gosan Techは、OLEDディスプレイやダイレクトパーツマーキングなどのIT領域だけでなく、次世代太陽電池であるペロブスカイト太陽電池の環境領域、薬剤・生体組織の液滴製造や病理検査装置といったバイオ領域の3領域で事業を展開し、拡大を図っている。
なかでもペロブスカイト太陽電池は、近年の活発な研究開発によって発電効率が大きく向上しており、また軽量・薄型で曲げやすく、インクジェットなどの生産技術を活用することで製造コストの低減が期待できるといったメリットがあることから、現在の主流であるシリコン型太陽電池に替わる次世代の再生エネルギー源として注目されている。Gosan Techは、インクジェット方式を用いることで薄膜品質だけでなく、厚み・材料・デザイン変調が可能であり、発電力、デザイン性、材料使用率の向上を図ったペロブスカイト太陽電池モジュール、およびそのインクジェット製造システムなどを開発、販売している。
エプソンは、プリントヘッド外販ビジネスにおけるパートナー企業の1社として、Gosan Techに対し産業用途に適した高信頼・高精度なプリントヘッドを供給し、韓国の販売・サービス拠点であるEpson Korea Co., Ltd社とも連携を図りながら同社の事業成長を支援していく。
エプソンは、長期ビジョン「Epson 25 Renewed」において、インクジェット技術を用いた多様なソリューションにより生産性を向上し、産業構造の革新を実現することを目指している。また、インクジェット技術は、社会で生じる環境負荷を画期的に下げることで持続可能な社会を実現するポテンシャルを持っている。
エプソンのインクジェット技術を新たなニーズが生まれているエレクトロニクスやバイオ、ペロブスカイト太陽電池のような多様な用途に拡大し、その能力を最大限に発揮するため新たな発想と革新的な技術を持つGosan Techと互いの強みを融合させることで相乗効果を生み出し、高いレベルの産業構造の革新と持続可能な社会の実現につなげることを目指し、今回の出資を実行する。
また、プリントヘッド外販ビジネスにおいては、パートナーシップによるヘッド外販と周辺技術を含めたソリューションの提供を強化することで、ペロブスカイト太陽電池用途のみならず、産業構造の革新や環境負荷低減に貢献できる新たな市場において、インクジェット技術応用のエコシステム拡大の取り組みを加速し、パートナーとともに新たな市場創出を図っていく。