キヤノンの小型テラヘルツデバイスに関する論文が国際学会で最優秀論文賞を受賞

キヤノン 2024年7月4日発表


 キヤノンは、マイクロ波分野に関する世界有数の国際学会であるIEEE MTT-Sが出版するテラヘルツ波の専門誌『IEEE Transactions on Terahertz Science and Technology』において、日本企業として初めて最優秀論文賞(Best Paper Award)を受賞したと、7月4日に発表した。この賞は、ラジオ波・マイクロ波などの高周波電波の分野において技術的卓越性、貢献の功績を称えることを目的に設けられたIEEE MTT-S Awardsの1つである。

 『IEEE Transactions on Terahertz Science and Technology』は、IEEE MTT-Sが出版するテラヘルツ波の科学技術と応用にフォーカスした査読付き専門誌で、当該分野における世界トップの研究者・技術者の論文が掲載される。今回、最優秀論文賞を受賞したのは、2022年に掲載されたキヤノンの小型テラヘルツデバイスに関する論文である。
 この賞は、審議の前年に『IEEE Transactions on Terahertz Science and Technology』に掲載された全論文が対象となっており、技術的卓越性、貢献の重要性、プレゼンテーションが評価の基準となり選出される。米国ワシントンD.C.で2024年6月19日(現地時間)に行われたIEEE MTT-S国際マイクロ波シンポジウム(IMS)の晩餐会にて、受賞者に盾が授与された。

 テラヘルツ波は、電波と光の中間の周波数(波長)を有し、双方の特性を併せ持つ電磁波である。X線と異なり、被ばくすることなく物体を透過させることができるため、セキュリティ用途での活用が期待されているほか、次世代の通信方式「6G」の実現に向けた活用が検討されている。キヤノンは、従来方式と比べて約1000分の1の小型化を実現しながら、テラヘルツ波をより強く、狙った方向により遠くまで送ることができるテラヘルツデバイスを開発した。