リコー 超小型衛星にリコーの宇宙用ペロブスカイト太陽電池が搭載

リコー 2024年6月25日発表


超小型衛星「DENDEN-01」(上面手前が宇宙用ペロブスカイト太陽電池)
超小型衛星「DENDEN-01」(上面手前が宇宙用ペロブスカイト太陽電池)

 関西大学とリコーは、関西大学が開発した超小型衛星「DENDEN-01」にリコーの宇宙用ペロブスカイト太陽電池が搭載され、軌道上での実証実験を行うと、6月25日に発表した。「DENDEN-01」は、6月4日にJAXAへの引き渡しが完了しており、今秋に国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられた後、ISSからの放出実証実験を開始し、約半年間のペロブスカイト太陽電池の評価が行われる予定である。
 今回の宇宙実証では、衛星の傾きと照度に対しての発電量をモニタリング、宇宙空間での耐久性を評価し、取得したデータは関西大学、JAXA、リコーの三者で検証予定である。今回、実用的なペロブスカイト太陽電池の直列モジュールを用いた宇宙実証は国内初となる。
 従来の衛星用太陽電池は、重量が重く打ち上げにコストがかかり、宇宙線(宇宙空間を飛び交う放射線)による劣化や、十分に太陽光が当たらないと発電ができないといった課題がある。現在、地上での活用でも注目されているペロブスカイト太陽電池は、低照度での高い発電量と、宇宙線への高い耐久性、また将来的にはフレキシブル化や軽量化も可能な素材であることから、宇宙空間での活用も期待されている。リコーは、2017年からペロブスカイト太陽電池の宇宙利用を目的にJAXAの「宇宙探査イノベーションハブプロジェクト」に参加しており、宇宙用ペロブスカイト太陽電池の開発でノウハウを培ってきたことから、今回の衛星搭載にいたった。搭載されたペロブスカイト太陽電池は「DENDEN-01」用にモジュールを設計し、衛星に取り付けやすい設計になっている。リコーは今回の実証実験を通じて、早期の市場投入に向けて開発を加速していく。