京都文化協会とキヤノン 尾形光琳「松島図屏風」の高精細複製品を京都市立芸術大学に寄贈
京都文化協会/キヤノン 2024年4月25日発表
特定非営利活動法人 京都文化協会とキヤノンは、「綴プロジェクト」(正式名称=文化財未来継承プロジェクト)の第15期作品として制作した、米国・ボストン美術館所蔵「松島図屏風」(尾形光琳 筆)の高精細複製品を、京都市立芸術大学(京都府京都市)へ寄贈すると、4月25日に発表した。寄贈作品は、同大学内の一般開放エリアにて展示される。
■「松島図屏風」の高精細複製品をキヤノンのイメージング技術と京都伝統工芸の技の融合により制作
江戸時代中期に活躍し、琳派の大成者としても知られる尾形光琳は、江戸時代初期に活躍した琳派の祖、俵屋宗達に深く傾倒し、宗達に倣った作品をいくつか残している。本図も宗達筆「松島図屛風」の右隻をもとに描かれたものだが、光琳独自の解釈が加わり、波の動きなど一層ダイナミックな表現が見られる。この屏風は、米国の美術研究家であるアーネスト・フェノロサが日本を訪れた際に購入したもので、1911年よりボストン美術館にて所蔵されている。
制作にあたっては、キヤノンのフルサイズミラーレスカメラ「EOS R5」でオリジナルの文化財を撮影し、独自開発のカラーマッチングシステムを用いた画像処理を行った上で、12色の顔料インクを搭載した大判インクジェットプリンターで出力している。
さらに、京都の伝統工芸士が金箔などを用いた装飾を施し、屏風に仕立てることで、オリジナルの文化財を限りなく忠実に再現している。
■尾形光琳ゆかりの地・京都にある京都市立芸術大学に高精細複製品を寄贈
京都で生まれ育ち、京都の地から世界で認められる絵師となった尾形光琳のように、京都で芸術を学ぶ多くの学生にも世界に向かって大きく羽ばたいてほしいという願いを込めて、京都市立芸術大学へ本作品を寄贈する。寄贈作品は、同大学内の一般開放エリアにて展示されるため、地域住民をはじめとした国内外の多くの方々が、オリジナルの文化財では難しい、ガラスケースに遮られない間近での鑑賞を楽しむことができる。また、大学内で行われる授業での活用や、地域連携によるイベントでの活用なども予定されている。