東芝テック AIソリューションを開発 生成AIによるリテールプロモーション最適化
東芝テック 2024年3月11日発表
東芝テックは、生成AIのキーエンジン「トランスフォーマー」によるリテールプロモーション最適化AIソリューションを開発した。このソリューションは、POSデータから顧客の好みや反応をAIに類推させ、個々の顧客とPRの組み合わせによる売上や利益のシミュレーションを行う。また、利益最大化を目標として、数理最適化問題を解き、最適なクーポンやポイントの配信を実現する。
近年の人工知能と機械学習の普及により、過去の購買・行動データ等をもとに、パーソナライズされたプロモーションを実施することが、リテール分野で広く浸透してきた。しかし、これらのような従来手法では過去に購買が少ない消費者へのプロモーション最適化が困難であり、多くの場合はベストセラー、購買済み商品やその類似品、またはあえて新規性のある商品を提案するレベルにとどまっている。
このような課題に対して、東芝テックは「トランスフォーマー」モジュールをレコメンデーション・モデルそのものに組み込んだ。それにより、消費者ごとの購買履歴に加えて顧客属性や商品属性、店舗属性などの情報を統合し、消費者の好む商品を推論できるようになった。さらに、お客×商品別の膨大な組み合わせで、クーポンを送った場合にどれだけ利益が増加/減少するのかを計算し、利益総額が最大化される組み合わせを推定できるようになった。
このソリューションは、東芝グループが社会インフラの需要と供給の最適化などで長年培ってきたAIノウハウと東芝テックのリテール業界での知見を活用しており、業界における販促活動の効果測定や原資の有効活用に貢献する。また、このソリューションにより、顧客志向分析やOne to Oneソリューションの実現に向けた顧客反応分類が生成され、顧客志向の全体像可視化の弾みになる。
東芝テックは、生成AI活用サービスの開発を強化しており、本ソリューションはその第一弾であり、今後もリテール業界の課題解決に向けたAIソリューションの開発を続けていく。
■プロモーション最適化ソリューションの構成要素
4つの主要な機能から構成されており、以下の(1)にトランスフォーマーを用いている。
(1)消費者一人一人の購買に至りやすい商品を、消費者と商品全ての組み合わせで予測する
(2)消費者一人一人のプロモーション別商品別の反応度を予測する
(3)各消費者に各々のプロモーションを発信した際の売上・利益の変化をシミュレーションする
(4)プロモーション投資額に限りがある中で、膨大な組み合わせの中からどの消費者にどのプロモーションを発信すると経済効率性が高く、利益総額が最大化されるのかをシミュレーションし、配信する