HPが3Dプリンティングの樹脂分野の取り組みを加速 サステナブルな製造の適用と生産の拡大を促進
日本HP 2023年11月30日発表
HP Inc.(以下HP)は、3Dプリンティングの樹脂分野の適用と生産の拡大を加速するため、最新のイノベーション、材料、ツール、ソフトウェアの拡張機能など、サステナブルな製造への取り組みの強化を11月7日(現地時間)にフランクフルトで発表した。HPは、BMWやDecathlonなど、業界をリードするパートナーや顧客との提携にも力を入れている。
■サステナブルな製造への取り組み
HPは、サステナビリティに対して、カーボンフットプリントの削減、循環性社会の実現、よりインパクトのある成果のための知識共有という3つの柱で取り組んでいる。
HPは、BMWグループと長年にわたりコラボレーションをしている。BMWは、HPのさまざまな3Dプリンティングソリューションを活用して、サステナブルな設計、材料、生産、およびアプリケーションの自動化の推進を検討している。
BMWグループは、HP Multi Jet Fusionテクノロジーを採用することで、開発の迅速化、リードタイムの短縮、および製造に対する柔軟でコスト効果の高いアプローチにつながった。BMWグループは、コストを削減しながらサステナビリティゴールの達成をサポートするため、HP Jet Fusion 3D Automation Accessory(自動化アクセサリー)を使用している。このソリューションは、アイドリング時間を最小限に抑え、3Dプリント造形に関わる人件費を削減し、連続生産における新しい機会を開拓できるよう設計されている。
HPは、材料パートナーと提携し、サステナビリティとリサイクル性がより高い材料を開発している。HPはArkemaと連携して、再生可能な資源であるヒマシ油から作ったバイオマス材料の開発を進めており、バイオメタンを利用してカーボンフットプリントをさらに削減している。また、HPはEvonikと連携してリサイクル性の高い3Dプリント用のPA12(3D High Reusability PA12)を開発し、サステナビリティを強化している。この材料は製造時に再生可能エネルギーを使用されており、PA12材料で一般的に発生するカーボンフットプリントを49%削減しつつ、PA12材料の持つ特性はそのまま維持している。
HPは、カーボンフットプリント測定ソフトウェアをリリースする。このソフトウェアにより、顧客は特定の造形パーツのカーボンフットプリントの数値を計測できる。このツールはさまざまな業界で利用可能で、アディティブ・マニュファクチャリングの実施における環境への影響に関して、情報に基づく意思決定を行うことができる。
■最新のイノベーションとパートナーの拡大
HPは、以下のような最新の樹脂3Dソリューション、高度な自動化機能、統合型ソフトウェアのオプションも提供している。
HPの樹脂3Dプリントポートフォリオの最新のイノベーションに、「HP Jet Fusion 5600シリーズ」が追加される。「HP Jet Fusion 5600シリーズ」は、再現性、信頼性、カスタマイズ性が大幅に強化されており、開発コストと検証コストを削減できる。PrototalやProtolabsなどの顧客は、すでにこの最新ソリューションを使用してパーツを生産している。
Materialiseとの新たなパートナーシップにより、HPのMulti Jet FusionテクノロジーがMaterialiseのCO-AMソフトウェアプラットフォームに統合されたことで、3Dプリントの量産を加速する。この統合により3Dプリントのジョブ管理、装置のリアルタイム監視、および造形データの準備を最適化することが可能になり、製造メーカーは、トレーサビリティ、品質管理、および装置の稼働率を向上するワークフローを作成できる。
Autodeskとのコラボレーションにより、HP Multi Jet Fusion方式のプリンターにはAutodesk Fusion 360がバンドルされており、設計と製造の統合ソリューションが提供できる。
現在、生産の合理化や効率の向上、ダウンタイムの削減を検討する企業向けに、HPとシーメンスによるオートメーションの概念実証のライブデモがスペイン・バルセロナにある施設「D-Factory」で公開されている。