Sansan 「電子帳簿保存法に関する実態調査」を実施 宥恕期間終了まで2か月 対応率は6割以下

Sansan 2023年10月19日発表


 Sansanは、インボイス管理サービス「Bill One」が、請求書関連業務に携わる1000名のビジネスパーソンを対象に「電子帳簿保存法に関する実態調査」を実施したと、10月19日に発表した。
 調査の結果、2022年1月に改正された電子帳簿保存法の宥恕期間終了が2023年12月末に迫る中、電子帳簿保存法への対応率はいまだ6割を下回っており、特に食品業界および公共機関等において対応が遅れていることが明らかになった。

Sansan 「電子帳簿保存法に関する実態調査」を実施

 2022年1月に電子帳簿保存法が改正され、電子取引データを紙で保存することが原則できなくなった。しかし、宥恕期間が設けられており、その期限は2023年12月末までとなっている。Sansanは今回、宥恕期間終了まで残り約2か月を迎える中で企業は電子帳簿保存法への対応にどのように向き合っているのか、業界によって対応状況に違いがあるのかを明らかにするため、「電子帳簿保存法に関する実態調査」を実施した。

■調査の結果
 ●電子帳簿保存法の宥恕期間終了が2か月後に迫る中、対応率はいまだ6割を下回る
 請求書関連業務に携わる1000名のビジネスパーソンのうち、電子帳簿保存法に「対応している」と答えたのは59.5%で「対応していない」が29.4%、「分からない」が11.1%という結果であった。今年2月に実施した同社調査における対応率(49.2%)よりも10%程度上昇したものの、宥恕期間終了が目前に迫る中で、いまだ対応が進んでいない現状が明らかになった。

Sansan 「電子帳簿保存法に関する実態調査」

 ●電子帳簿保存法への対応率が高いのはIT・金融業界。対応率が低いのは食品・公共機関等
 また、業界別の結果を見てみると、IT・情報通信業界および金融業界においては電子帳簿保存法の対応率が8割以上であった一方、食品・小売・飲食業界および公共機関・非営利団体では対応率が半数以下と、各業界によって対応状況に大きな差があることが分かった。
 特に「対応している」と回答した人の割合が多いIT・情報通信業界および金融業界に対して、どのような方法で電子帳簿保存法に対応したか聞いたところ、これらの業界では「(自社対応ではなく)電子帳簿保存法に対応したサービスを導入した」と回答した人が他業界よりも多く、電帳法に対応したサービスを活用して効率的に対応を進めていることが分かった。
 一方、対応率が低い食品業界および公共機関等に、対応しない理由を聞いたところ、「紙の請求書のやりとりが多く、請求書の電子保存は予定していない」という回答が多く見られた。これらの業界では、請求書の電子保存に対する優先度が他業界よりも低いことが推察される。

Sansan 「電子帳簿保存法に関する実態調査」

 ●電子帳簿保存法対応により、メリットを感じている人とデメリットを感じている人はほぼ半々。大企業では3分の2以上がメリットを感じている一方、小規模事業者は6割がデメリットを感じている
 続いて、電子帳簿保存法に対応した企業に、対応による変化をたずねたところ、メリットを感じている人が50.6%と過半数をやや上回った。特に対応のメリットを感じているのは従業員数が1001名以上の大企業で、メリットの方が大きいと回答した企業が67.4%にのぼり、全体の3分の2以上を占めた。

Sansan 「電子帳簿保存法に関する実態調査」
Sansan 「電子帳簿保存法に関する実態調査」

 ●電子帳簿保存法に対応したことによる主なメリットは「請求書処理時間の削減」「請求書を探すのが容易になった」「ペーパーレス化」
 また、メリットの方が大きいと答えた企業に具体的な理由を聞いてみると、第1位は「請求書を処理する時間が減った」、第2位は「請求書を探すのが容易になった」、第3位は「勤務先で書類のペーパーレス化が進んだ」という結果であった。電子帳簿保存法への対応は、業務効率化の推進やペーパーレス化につながっていることが分かった。

Sansan 「電子帳簿保存法に関する実態調査」

■総論 : 電子帳簿保存法の宥恕終了まであと約2か月にもかかわらず、いまだ対応率が6割を下回っている。一方で対応企業にはメリットも
 今回の調査で、電子帳簿保存法の宥恕期間終了が2か月後に迫る中、いまだ対応率が6割未満と対応が進んでいないことが分かった。対応率は業界によっても大きく異なり、対応が進んでいるIT業界や金融業界では、電子帳簿保存法に対応するシステムの導入を行っている一方、食品・飲食業界や公共機関・非営利団体では、紙のやりとりが多いことなどを理由に対応率が5割を下回っていた。
 また、電子帳簿保存法に対応した企業では、業務効率化やペーパーレス化などのメリットを享受していることも明らかになった。
 Sansanは、宥恕期間が終了する2023年12月末までに、現在の対応方法を見直す企業も出てくると考えられることから、電子帳簿保存法への対応と業務効率化を同時に実現できるサービスの需要はより一層高まるとしている。