キヤノン 複写機「NP-1100」と「PC-10/20」が「未来技術遺産」に登録
キヤノン 2023年9月14日発表
キヤノンは、国産初の複写機として1970年に発売された「NP-1100」と、世界初の「パーソナル複写機」として1982年に発売された「PC-10/20」が、国立科学博物館の「重要科学技術史資料(未来技術遺産)」に登録されたと、9月14日に発表した。また、9月12日に登録授与式が開催され、登録証と記念盾が授与された。
「重要科学技術史資料(未来技術遺産)」は、日本の科学技術史資料のうち、「科学技術の発達史上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つもの」や「国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えたもの」を選定基準として登録される。登録制度は、資料の保存と次世代への継承を目的として、2008年より実施されている。
キヤノン製品の登録は、2010年の半導体露光装置「FPA-141F」、2019年のフォーカルプレーンシャッター式カメラ「ハンザ・キヤノン」、2021年の一眼レフカメラ「AE-1」に続き、今回の複写機「NP-1100」および「PC-10/20」で4回目 (計5件)となる。
■「NP-1100」とは
キヤノン独自の技術によって開発された国産初の普通紙複写機である。複写機の技術は、電子写真技術と呼ばれ、帯電させた感光ドラムに光で画像を描き、そこに付着させたトナーを紙に転写・定着させることで複写を実現する。キヤノンは、世界の複写機市場を米国ゼロックス社の技術が席巻していた時代に、同社の特許網をかいくぐり、三層構造の感光ドラムで作像する独自の電子写真技術、「NP(New Process)システム」の開発に成功した。これにより、感光ドラムに残ったトナーを除去するクリーニング・ブレードの導入が可能になるなど、革新的な技術を搭載した第一号機の複写機「NP-1100」を発売し、市場を開拓した。
■「PC-10/20」とは
世界初のカートリッジ方式によって、発売当時、最小・最軽量を実現した普通紙複写機である。複写機の主要構成要素である感光ドラム、一次帯電器、現像器、クリーナーをすべて小型カートリッジに格納することで、大幅な小型化・軽量化を実現し、「パーソナル複写機(ミニコピア)」と銘打って発売した。また、ユーザー自身がカートリッジを交換するという新たな使用方法で、サービススタッフによる訪問型の保守点検がほぼ不要となった。「PC-10/20」の登場によって、官公庁や大企業だけでなく、個人商店やフリーランスで働く人々も複写機を所有できるようになった点が、高く評価されている。