ミマキエンジニアリング 昇華染料インクの脱色技術で捺染ポリエステルの再利用
ミマキエンジニアリング 2023年6月6日発表
ミマキエンジニアリングは、捺染ポリエステル生地から昇華転写インクを脱色し生地を再利用する技術「ネオクロマトプロセス」を、6月14日まで開催されているITMA(開催地/イタリア・ミラノ)で世界初の技術出展し、循環型テキスタイル技術の紹介によりテキスタイル産業の持続可能性を提案した。
昨今の人々のサステナビリティ意識の向上により、テキスタイル素材の大量廃棄が社会問題となっている。ワールドワイドでのテキスタイル素材の年間生産量は1億1,300万トン、廃棄量は9,200万トンにのぼり、そのうちポリエステル製テキスタイルは全体の約60%を占めるというデータ(ミマキエンジニアリング調べ)もある。テキスタイル素材、特に大半を占めるポリエステル製テキスタイルの有効活用による環境負荷低減が求められている。
現在、短期イベントのサイン(のぼり旗、垂れ幕、電飾看板、テーブルクロス)や安価なファッションアパレル、スポーツウェアは主に捺染ポリエステルが利用されており、大部分は使用後焼却処分される。一部分はリサイクル(回収後、粉砕、洗浄の上、再度原料精製、繊維化後に再捺染)されるが、そのリサイクル率は約15%程度である。また、リサイクルするためにも膨大なエネルギーが使用される。
この度同社が発表する昇華染料インクの脱色技術「ネオクロマトプロセス」は、色や柄の変更による捺染ポリエステルの再利用により、焼却処分を不要にするのみでなく、リサイクルのための必要なエネルギーの削減にも貢献する。また、インクや脱色用の溶剤を吸収した吸い取り紙(吸収材)は燃えるゴミとして処理でき、水の利用や排水による水質汚染を最小限に抑えることができる。ネオクロマトプロセスはテキスタイル産業の持続性を実現する技術である。
同社は、ネオクロマトプロセスを活用した実用条件とソリューションの製品化に取り組んでゆき、今後リテールブランド(店舗サイン生地の再利用目的)及びアパレルブランド(衣類生地の再利用目的)とのコミュニケーションからこの技術の可能性を検証していく。
【ネオクロマトプロセスの特長】
● 昇華染料(昇華転写)によって染色したポリエステル生地であれば脱色が可能
● ほとんど水を使わないプロセスによる脱色が可能で工業廃水が限りなくゼロに近い
● 脱色後の生地にすぐにプリントや染色ができ、色柄の変更が何度でも可能