コニカミノルタジャパン 百貨店ベーカリーの食品ロスを7%削減 SaaS型AI需要予測で

コニカミノルタジャパン 2023年3月15日発表


 コニカミノルタジャパンは、大丸松坂屋百貨店 大丸東京店のベーカリー部門にAI需要予測サービス 「AIsee(アイシー)」を導入した。導入後、ベーカリー部門における食品ロスを前年比最大7%削減することに成功した。

 近年、気候変動にともなう災害リスクの増大などの社会課題が顕在化する中で、環境問題の解決に向けた具体的な対策が求められている。食品小売業界においては食品ロス対策の必要性が高まっており、その解決策として適切な生産量や発注量を示す需要予測システムの活用が期待されている。
 現在、多くの企業の発注業務が、担当者による長年の経験と勘に頼った運用となり属人化している。また、以前より存在する需要予測システムは、専用サーバーや特別なシステム構築が必要となるなど、高額なコストが導入の課題となっている。
 そうした中、「AIsee」を始めとしたクラウドを介してサービスを提供するSaaS型のシステムが登場したことで、これまでコスト面の課題やシステム管理の複雑化から導入を見送っていた企業への導入が進んでいる。「AIsee」は、DX推進による業務の属人化の解消と有限な資源の有効利用を推進し、持続可能な社会の実現に貢献していく。

■導入の背景
 大丸東京店ではこれまでも、売場での値引き対応や販促活動の強化など、サステナビリティ活動の一環として食品ロス削減に取り組んできた。また、同時にさらなる食品ロス削減の取り組みとして、「発注・製造」の工程をテクノロジーで適正化することを検討していた。
 当時の発注作業は、過去の来客数、天候、曜日、イベントや百貨店の売上目標等に応じて、各テナントのベテラン社員がこれまでの経験と勘をもとに判断する運用となっており、発注業務が属人化し、担当者の負担となっていた。ベテラン社員に頼っていた運用のシステム化を図ることで、高度な予測による食品ロス削減の実現と属人化の解消を目指し、2022年8月に「AIsee」を導入した。
 「AIsee」の導入には、特別なシステム構築や専用端末の必要が無く、PCとインターネット環境で利用できる点、運用時には必要な伴走支援が行われる点、月額5万円からの低コストで利用できる点が評価された。

■発注業務における食品ロス削減の施策内容とその効果
 大丸東京店の食品部門の中でも4番目に食品ロスの発生が多いベーカリー部門から導入した。各ベーカリーテナントの定番商品かつ売上上位のアイテムに限定し、過去3か月分の日次売上実績を「AIsee」に登録し、運用を開始した。
 「AIsee」が算出した予測結果を参考数値とし、テナント担当者が発注・生産量を計画する。そうすることで、新型コロナウイルスの影響による行動制限が緩和され来客数や売上が増加する予測が難しい状況でも、適切な発注・生産量を判断でき、食品ロスを前年比最大7%削減することができた。
 また、過去のデータだけでなく運用期間中の実際の発注・生産量や売上数値のデータも蓄積していくことでAIが学習する。そうすることで、運用開始2か月でベテラン社員に匹敵する予測精度にまで高め、業務の属人化の解消も推進できた。
 コニカミノルタジャパンは、大丸東京店が抱える課題、要望のヒアリングを丁寧に行いながら、「AIsee」の導入から運用までを支援した。また、顧客の要望に合わせた機能拡充にも対応するなど、細やかにサポートできる点は顧客から高い評価を得ている。