NEC AIと業務機能を融合した証券向け「総合売買審査サービス」を提供開始

 NECは、AIを活用し、金融取引における不正・リスク対策業務の効率化・高度化を実現するSaaS型クラウドサービス「NEC AI不正・リスク検知サービスfor証券」に、AIによるスコアリング機能と売買審査業務機能を融合した「総合売買審査サービス」を新たなメニューとして追加し、1月20日から提供開始すると、同日発表した。今後5年間で、10社への販売を目指す。
 SBI証券は先行して、2022年12月に本サービスを採用し、2023年3月から本格的に稼働開始する予定である。

 今回新たに提供する「総合売買審査サービス」は、従来「AI売買審査支援サービス」で提供していた相場操縦取引における不公正度合をAIでスコアリングする機能にインサイダー取引への対応と、売買審査システムの業務機能を融合し、業務と一体化することで業務高度化・効率化を実現する。

【総合売買審査サービスの特長】
(1) データ学習済みAIにより最大約90%の業務を効率化
 相場操縦取引審査のAIモデルに加え、インサイダー取引審査に関する取引データや重要事実データ等を学習したAIモデルを新たに生成する。それにより、見せ玉など相場操縦取引とインサイダー取引の不公正度合いをAIでスコアリングすることにより審査対象を絞り込み、最大約90%の業務削減が可能である。また、スコアの提示だけでなく算出根拠も示すため、審査結果の説明への活用に加え、納得感・安心感を持ったAIスコアの活用ができる。
 AIには、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」の1つである「異種混合学習技術」を採用している。

(2) 板情報等相場データとAIスコアとの同時審査により業務を高度化
 審査対象となる取引時の板データや、チャート等を同一画面内に表示しながら審査することが可能である。またタブによる表示切り替えのみでAI判定結果も同画面に表示可能である。審査上必要な機能を一つのシステム・画面に集約し、深度のある審査を実現する。

(3) SaaS型で提供することにより導入・運用負荷を軽減
 既存のシステム環境にとらわれることなく、短期間かつ効率的に導入が可能である。また導入後のシステム保守・運用はサービスの範囲に含まれるため、サービス導入後の運用負荷を軽減する。なお、本サービスではアマゾン ウェブ サービスをサービス基盤として採用しており、セキュアかつ柔軟性の高いサービスを実現している。

(4) 日本証券協会や取引所が定める抽出基準に対応
 ルール抽出機能は、日本証券協会や取引所が定める銘柄・顧客の抽出基準に対応している。また、買い上がり・売り下がり等のNECが用意する任意の抽出基準も標準サービスとして利用可能である。さらに、公設取引所、私設取引所の株式の取引・先物取引の売買審査にも対応している。

 「NEC AI不正・リスク検知サービスfor証券」(総合売買審査サービス)の税別販売価格は、初期費用が1,000万円~、月額100万円~。