NEC 企業や自治体の再エネ使用比率向上に 自己託送を支援するクラウドサービスを新たに提供
NECは、太陽光発電設備や蓄電システム等の分散するエネルギーリソースをICTで統合制御するリソースアグリゲーション技術を活用した「NEC Energy Resource Aggregation クラウドサービス」(以下 RAクラウドサービス)に、企業や自治体の自己託送を支援するメニューを拡充し2023年4月から提供開始すると、12月22日に発表した。
本サービスは、企業や自治体が自己託送を行う際に必要となる需要・発電予測、電力広域的運営推進機関への自己託送計画の作成・提出、自己託送当日のインバランス管理およびインバランス抑制のための制御機能をクラウドで提供する。2028年度までに20社以上への提供を目指す。提供価格は、月額15万円~(初期費用は別途)である。
2020年10月に日本政府による「2050年カーボンニュートラル」が宣言され、脱炭素に向けた再生可能エネルギー発電や蓄電設備の普及・利用拡大が進む中、企業の再生可能エネルギー使用比率向上や自治体による地域の脱炭素化が求められている。このような状況において、自社グループの拠点や自治体が保有する敷地などに太陽光発電設備などを設置し、発電した電力を自ら使用する自家消費や別拠点へ託送する自己託送の取り組みが注目されている。
一方で、自己託送を行う際には需要量や発電量の計画値の提出を義務付けている「計画値同時同量」制度があるため、日々の計画提出に必要なオペレーションへの対応や、計画と実績が乖離することで発生するペナルティ(インバランス料金)などの負担が生じる。
これらの状況・課題に対して、本サービスはインバランスリスクや日々のオペレーションの負担を軽減し、企業や自治体の自己託送業務をスムーズに行えるよう支援する。
■本サービスの概要
(1) クラウドサービスにより、導入・運用負担を軽減
クラウドでのサービス提供により、ユーザー側で新たなシステム構築が不要である。そのため新システム構築に比べスモールスタートかつ安価に自己託送の運用開始が可能である。
(2) AIを活用した予測と制御でインバランスを低減
NECのRAクラウドサービスで培ったAIを活用し、電力需要に影響するようなイベント情報や気象情報を加味した需要量・発電量の予測を行う。また、設置場所の特性を考慮した設備の制御をリアルタイムで行い、自己託送時に発生するインバランスを低減する。
(3) 実証事業や自社事業場における検証データ、ノウハウを活用
NECは、2016年から経済産業省のリソースアグリゲーション実証事業に参画し、エネルギーリソースに対する制御技術や需要予測などのAIの研究開発を進めてきた。2021年からは、NEC我孫子事業場に太陽光発電、蓄電池設備を設置して我孫子実証センターを立ち上げ、NEC社内でリソースアグリゲーション関連の検証を実施してきた。これらの研究や検証で得た知見やノウハウを活用し、本サービスを提供する。
(4) 太陽光発電や蓄電池等の設備設置、契約支援、設備運用保守をトータルでサポート
今後は、自己託送を支援するクラウドサービスに加え、太陽光発電や蓄電池等の設備の設置から、一般送配電事業者等との契約支援、設備の運用保守までをサポートするサービスの提供を予定している。