リコーと東大 社会連携講座「“はたらく”に歓びを」を開設
リコーと東京大学大学院工学系研究科(以下、東京大学)は、社会的課題の解決と産業の発展に寄与する共同研究を目的とした社会連携講座「“はたらく”に歓びを」を12月1日開設したと、同日発表した。
リコーは、創業100年を迎える2036年に向けて、「“はたらく”に歓びを」をビジョンに掲げている。業務の効率化や生産性の向上を超え、はたらく人が人ならではの創造力を発揮することで、充足感や達成感、自己実現の実感につながる、“はたらく”の変革を届けることが使命であると考えている。今回の東京大学との社会連携講座開設は、その実現に向けた取り組みの一つとなるものである。
近年、労働人口減少にともなう労働力の低下が社会問題になってきており、今後もより加速すると予測されている。はたらく人一人ひとりに対する成果や業務効率の向上が求められる一方、個人が実行できる業務の量や質には限界があり、限られた時間の中でより高い価値を創出する必要がある。
リコーは、この課題を解決するためには、はたらく人が自らの意思で“はたらく”に対して前向きになっていくことが必要だと考えている。一つの方向性として、人が“はたらく”ことに対して前向きになる状況を特定することができれば、それを活用して働きがい(内発的動機)を引き出し、はたらく人のウェルビーイング(歓び)やパフォーマンス(創造性)を高め、さらには会社としてのベネフィット(業績向上)にもつなげることができるのではないかという仮説を立て、検証を進める。
本講座では、人がそのような“はたらく歓び”を実感できる働き方や職場環境のあるべき姿を描くとともに、その実現に向けた技術・事業・サービスの開発に取り組み、働きがいと経済成長が両立する持続可能な社会への貢献を目指す。リコーの技術・ノウハウに裏付けられたオフィス向けソリューションの実績と、東京大学の卓越した学術的知見・技術というお互いの強みを連携することで、技術分野における相互の知的・人的・物的資源の交流や、共同研究開発活動の推進による新しい価値の創造を図る。
■ 社会連携講座設立の目的
様々な産業・ビジネスにおける“はたらく”を、認知工学、認知科学、組織心理、情報科学などの様々な学理からの多面的なアプローチによって探究し、一人ひとりの働きがいの向上、個人と組織をともに活性化させるためのソリューションを実現するコア技術の創出を目指すとともに、“はたらく歓び”にあふれる社会の実現に資する知識・技術基盤の確立を目指す。
あわせて、産業の現場との連携や学際的研究を通して、人間中心の視点に立った産学協創・学理融合の実現、促進に資する次世代人材の発掘・育成を目指す。
■ 社会連携講座の概要
《設置期間》2022年12月1日 から 2025年11月30日(3年間)
《代表教員》松尾豊(東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻 教授)
松尾教授が、本社会連携講座の特任教授を兼務する。
《研究内容》
「“はたらく”に歓びを」につながる重要な要素として「創造性」に着目し、「創造的タスクを行うときの個と組織の状態・メカニズムはどうなっているか?」という重要な問いを解明する。リコーの技術・ノウハウに裏付けられたオフィス向けソリューションの実績と、東京大学の持つ卓越した専門性を掛け合わせ、組織をまたいだ包括的な研究活動を進めることで、シナジーの創出を目指す。
《期待される成果》
はたらく人が人ならではの創造力を発揮するための状態やメカニズムの解明に取り組み、「“はたらく”に歓びを」の実現に資する知識およびコア技術を獲得・活用することで、産業基盤の競争力を高めるとともに、“はたらく歓び”を支え、高めることに関連した新しいビジネスシーズを創出する。