JBMIA インボイス検索用 QRデータフォーマット規格を制定
(一社)ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)は、適格請求書等の国税関係取引書類の受領企業側が、取引情報項目の取り込みを容易にする目的のQRデータフォーマット規格「JBMS-91」を制定し、この形式のQRコードを付与する取引書類の普及を目指すと、7月20日に発表した。この取引書類の名称を「QRインボイス」とした。
国税関係取引書類は、税法で、帳簿と共に7年間の保存義務が課された書類である。日本の商取引においては、紙取引書類が大多数を占めており、保存のための倉庫費用と多くの間接業務を発生させ、その解消は日本企業の経営課題と化している。一方、政府の規制緩和の一環で電子帳簿保存法により、取引書類のスキャナ保存が容認されているが、「取引日」、「取引先」、「金額」の情報ですみやかに検索できることが電子保存の必須要件であり、この検索情報入力の手間が電子保存の阻害要因となっている。さらに、令和5年10月より消費税仕入控除の条件として適格請求書等保存方式(インボイス)制度が開始されることで、仕入帳簿への入力工数が大幅に増えることが懸念され、解決を目指して、デジタル庁を中心に「電子インボイス」実現のための仕様が検討されており、開始が待たれるところである。
JBMIAのドキュメントマネージメントシステム部会(DMS部会)では、スキャナ保存の疎外要因である検索情報入力の効率化策として、QRコードの誤読率が極めて低く、印刷技術および判読技術は広く普及していることに着目した。
2019年に、電子取引をすぐには導入できない中小企業を念頭に、取引書類の発行側が内容をQRコード化し取引書類に印字して相手に渡すという運用の普及を提案するとともに、読み取るデータ形式を標準化するためのQRコード用の汎用データフォーマット規格であるJBMS-89を制定した。しかし、取引明細を含め表現する仕様であったことで、QRコードが複数必要となり、かつQRコードのシンボルサイズが大きくなるなどの課題があった。
JBMS-89制定後、民間事業者の手によりこれらの課題を克服する明細情報をすべて対象としたQRコードを活用する本格的なサービスが登場しつつある事も踏まえ、電子帳簿保存法要件である検索情報や適格請求書で求められる税率別小計などに情報を絞り、QRコードの内容を最低限のものとした中小企業にとって実用的な新規格である「JBMS-91」を定め、この形式のQRコードを付与する紙取引書類「QRインボイス」の利用によって、電子インボイスが広く普及するまでの業務効率化実現を提案する。