山陽製紙 中小企業版SBTに日本の製紙業で初認定 2030年に温室効果ガス排出量42%削減

 紙再生サービスメーカーの山陽製紙は、パリ協定が求める⽔準と整合した、企業が設定する温室効果ガス削減目標を定める中小企業版「SBT(Science Based Targets=科学的根拠に基づく目標)」に、4月に製紙業としては日本初の登録認定を受けたと、5月20日に発表した。基準年を2020年とし、燃料や電気の使用による温室効果ガス排出量を2030年に42%削減する目標を設定した。また、2050年までにすべての使用電力を、太陽光発電など再生可能エネルギーへの切り替えを目指す。

 製紙業はたくさんの電力と水を使用し、自然環境の恩恵を受けて成り立っている。同社は、2008年から「エコアクション21」に参加し、全社で環境への取り組みを行ってきた。2017年以降は電力の切り替えや排水処理設備の導入など、生産過程においても環境に配慮し、2020年には再エネ100%を目指す「RE100」の中小企業版である「再エネ100宣言RE Action」にも参加した。温室効果ガス排出量の中長期削減目標は設定していなかったが、科学的根拠に基づく目標設定を行うSBTでより具体的な数値目標を設定することで、同社の目指す脱炭素経営の推進になると考え、参加することに決めた。

 この度の認定に際し、生産時の燃料使用などによる直接排出、電力などの使用による間接排出、それぞれについて温室効果ガス排出量を見直し、産業革命前より気温上昇を1.5℃に抑える気候科学に基づく削減シナリオと整合した削減目標を設定した。2030年には、2020年の基準年に対して温室効果ガス排出量を42%削減するため、年率で約4.2%の削減が目標である。自然と共に生きる永続企業として、環境への負荷を極力減らすため、2050年までに工場で使用する電力について再生可能エネルギーへの切り替えを目指すほか、省エネ設備の導入など、エコアクション21の活動による全社的な活動で目標達成に挑む。